俳優とは演技をする人ですが、発表するメディアが何かによって、演技の方法は変わってきます。

舞台と映像、それぞれ俳優に求められるものは何なのか、また違い・共通点はどこにあるのかを見ていきます。

演劇の歴史

現在私たちがよく知るタイプの演技は、新劇と呼ばれるジャンルの演劇が始まりです。

新劇は、明治末期に西洋の演劇に影響を受けて、能・歌舞伎などの旧劇に対抗して打ち建てられた近代演劇です。

終戦後、新劇は全盛期を迎えますが、70年前後から起こるアングラ演劇によって、その演技訓練法を否定されます。

そして、80年代から小劇場演劇のブームが起こったことでそれまでマイナーであったものがメジャー化し、新劇・小劇場といったジャンル分けがだんだん意味をなさなくなってきます。

初期の映画やテレビも、俳優の多くは新劇出身だったので、映像の演技も新劇で用いられていた演技訓練法が採用されていました。

つまり、俳優の演技の基本は、まずは舞台の演技を学ぶところから始まります。

演技訓練法はたくさんあり、劇団によって用いられているものが異なるかも知れませんが、演技を学ぶにはいずれかの演技訓練法を学ぶ必要があるからです。

映画やテレビの俳優になる場合、その上で映像に特化したレッスンを受けるのです。

舞台俳優の行うこと

舞台演劇の場合、舞台によって違いはありますが、稽古に1カ月ほど掛けます。

稽古にも順番があり、台本が与えられてから

    ①顔合わせ
    ②読み合わせ
    ③立ち稽古
    ④場当たり
    ⑤舞台稽古(ゲネプロ)

と、演じる物語が文章から現場へと、だんだんと近づいていきます。

また、物語の始まりから終わりまで通して演技をするので、映画やドラマのようにあっちのシーン、こっちのシーンと時間や場所が飛ぶことがありません。

場面によっては長せりふも珍しくなく、せりふを徹底して頭に入れておくことが重要になります。

稽古を重ねながら、演出家や共演者と相談し合い、最終通し稽古ぎりぎりまでいろいろな方法を試してみたりもします。

舞台俳優は、長い時間を掛けて稽古を重ね、常により良くなる方法を考え試し、本番にベストの状態を持って行くのです。そういったところは、アスリートと似ています。

劇団員になるには

映像俳優の行うこと

ドラマも映画もそうですが、舞台と違うところは、まずは観客の代わりにカメラがあるということ。

そして、稽古期間というものがありません。

テレビは、たいてい撮影日にリハーサル、テスト、ランスルー、本番。

ロケーションの場合はいきなりテスト、本番です。

 

映画もだいたい同じで、テスト、本テスト、そして本番。リハーサルをする監督は多くありません。

撮影はワンシーンごとに進んでいくので、シナリオの順番とは違ってきます。

同じ場所であれば、一番最初のシーンと最後のシーンを続けて撮ることだってあり得ます。

また、多くは、同じシーンを場所を変えて何度か撮影することになるので、そのたびに同じ事が繰り返せなければなりません。

1分ほどのシーンのために、2時間や、それ以上かけることも珍しくありません。

このことからも、映像俳優は撮影までにせりふを覚えて来るのはもちろんのこと、さまざまな言い方を試して、どのようにして演じるのか自分でよく考えておく必要があります。

シーンの状況をよく把握して、気持ちを即座に切り替えられるようにすることも重要です。

芸能プロダクションとは?

「舞台」と「映像」、共通すること

「演劇は演技を大きくして、映像は演技を小さくする」と考えられがちですが、これは誤解です。

たしかに、舞台では表情が見えにくいので体全体を使った演技が必要ですし、テレビの場合、クローズアップされていればかすかな表情の変化で感情が伝わりますから、それ以上のことをすると大げさに映ってしまいます。

しかし、演技の大きさは、舞台では「空間」、映像では「絵の広さ(画面のサイズ)」に左右されます。

上手い舞台俳優は、400人の劇場の時と1000人の劇場の時で演じ方は変わりますし、上手い映像俳優はカメラワークを意識して演じています。

演技の大きさ・小ささは、むしろ舞台俳優と映像俳優の、演じるにあたっての共通の課題と言えるでしょう。