世間で大活躍している俳優や歌手の人たちが、ずっとお世話になってきた芸能事務所を出て個人事務所を開いたというニュースを何度か耳にしたことがあると思いますが、どうして芸能人たちは個人事務所を設立するのでしょうか。メリットは一体何があるのでしょうか。

まず、事務所を設立したと聞くと、それまでの所属事務所との契約をやめて新しく自分で完全に独立することであると考える人が多いかもしれませんが、実際はそうでない場合もたくさんあります。一般的に多い形は、大手プロダクションに所属しつつ個人で会社を作るという形なのです。
実際に抱えているタレントさんのスケジュールを調整し、仕事をマネジメントしてもらい、宣伝をしてもらい、ギャラをくれるのは芸能事務所やプロダクションです。しっかりと管理してくれている会社があるのでもう必要ないだろうと思うかもしれませんが、個人で事務所を設立することには大きなメリットがあるのです。

個人で事務所を設立するメリット

まず、事務所を別に作るとします。しかし所属していたプロダクションなどとの付き合いはやめないでおけば、実際には今までは一芸能人として個人での契約をしていたものが、個人事務所として契約する、ということになります。ここで個人事務所を設立するメリットが出てくることになります。

それは「ギャラを貰う」こと。ですから作った会社では事実上、ギャラの管理しかしていないという場合も非常に多いわけです。個人で貰うのと会社としてもらうのとは何が違うのかと言えば、それは税金です。

大手のプロダクションや芸能事務所から個人としてギャラ、給料を貰ってしまえばその分に対して所得税や住民税がかかりますが、一度個人事務所などを通して会社の収入とし、その会社から給料を貰うという形にすれば経費などを計上したり出来ますし、ギャラの管理しかしていなくても会社は会社ですから、芸能人の家族、身内を会社の役員などにしている場合には家族に分散することも出来るようになり、かなりの節税になるのです。

日本の所得税というのは所得が多くなるほど税率が高くなる仕組みになっていますから、所得が195万円以下の人の所得税率は5パーセントです。しかし4000万円を超える人は45パーセントになるのです。たくさん所得があるとたくさん税金を払う仕組みになっていますから、節税するには手に入れたお金を分散することが大切なのです。

具体的に例をあげると、例えばある芸能人が年収で1000万円稼いだとします。芸能事務所からお給料としてそのまま受け取ると、1000万円に所得税などがかかります。約15パーセントとして150万円引かれてしまって残りは850万円になり、そこから家賃や生活費、車代などを支払うことになります。しかしここでもし事務所を個人でもっていればどうでしょうか。まず自宅を事務所の所在地としておけば、家賃や交通費も1000万円の中から経費として計上することが出来ます。

その経費として計上した金額が例えば500万円であれば、税金は残りの500万円にかかってくるので支払うべき税金は100万円。そして更に家族など5人が会社の社員として供与を出していれば、そしてそれが100万円であった場合は税金がかからないということになります。

単に個人で1000万円貰ってしまうと手取りで残る金額は少なくなりますが、一旦事務所を通すことでそのまま給料としてもらえるかもしれないというメリットがあるわけです。これなら多くの人気タレントさんが個人で事務所を設立している理由が判ります。

主な個人事務所

主な個人事務所はやはり人気のあるタレントや俳優、芸人や歌手などです。

安室奈美恵

安室奈美恵さんはDimension Pointという事務所を個人で設立しています。

沢尻エリカ

水野美紀

南明菜

芸能人が「個人事務所」するリスク

ただ、これらを設立するにあたって平和にうまく行ったというタレントさんもいますが、そのせいで所属事務所と対立してしまったという芸能人もいます。設立にあたっては所属しているプロダクションや芸能事務所と話し合いをしてから慎重にすることがおすすめです。そして稀に本当に独立して会社を作っている人もいます。そうなると所属事務所との契約を打ち切ってしまってマネジメントなども全部自分の会社でやることになりますから、それはまた話が違って来ます。

ちなみに毎年発表される長者番付は、実はその年に最も稼いだ人の番付けではないのです。実は最も税金を納めた人の番付けで、あの芸能人やタレントは今が旬ですごく売れているのに、長者番付にはのっていないなあと思う人は、給料をちゃんと貰っていないのではなく節税対策に秀でているからである、という事実もあるのです。たくさん稼いでも税金をたくさん払っていないのであれば番付けにはのりませんから、番付けにのっていないからといってお金を稼いでいないということにはなりません。